会員紹介
いちごの里
関東一の小麦生産量を誇る栃木県小山市にある「いちごの里」は、いちごをはじめとしたくだもの狩りや農業体験が1年中楽しめる観光農園。ファミリー、カップル、団体バスツアーのお客様が、県内はもちろん東京や埼玉といった首都圏から連日たくさん訪れています。そんな園内にあるレストランやカフェでは、地元・栃木県産の食材にこだわった食事やスイーツが味わえます。人気メニューのパンケーキやシュクレ(タルト生地)、ケーキ、クッキーの主原料の小麦粉に使われているのは、栃木県産小麦のイワイノダイチです。
栃木県産小麦は高品質で、ブランド力も高い!
いちご、ブルーベリーといった果物は自家製、野菜は自家製と近郊農家、さらに「とちぎ和牛」に「やんちゃ豚」――。「レストランをオープンさせた当初から、オーナーの考えにより、食材はすべて栃木県産を使用しています」とは、企画営業部課長の小林裕明さん。ケーキや、当園一番の人気メニュー・いちごがたっぷりのった『天使のパンケーキ』、さらにはお土産品のバウムクーヘンやクッキーに使用している小麦粉も栃木県産です。
いちごの里の近隣には大きな観光施設がないため、「何かのついでに」立ち寄るといったお客様は少ないそう。そこで、いちごの里こそを観光の目的にしてもらうために、訴求力の高い商材にこだわっているそうです。
「お客様が年に何度も訪れたくなるようなおいしさを追求し、高品質な地元産食材を厳選しています。一般的に、輸入小麦に比べて国産小麦は高いといわれていますが、栃木県産小麦はブランド力が高く、原価を上回る大きな価値があります」(小林さん)
商品やケーキ作りを通じて栃木県産小麦をPR
ケーキ作りやお菓子作りには不向きだという評価があった国産小麦ですが、同園の商品開発を担当しているシェフパティシエの製造部技術顧問・上村巌さんは、「栃木県産小麦のイワイノダイチは、触れただけで輸入小麦と変わりはないと感じました」と言います。
「むしろ輸入小麦より、日本人好みのソフトできめこまやかな食感に仕上がります。満足度の高い、商品開発ができています。今では幅広い商品でイワイノダイチを使用しており、もはや当園に欠かせない食材だといえるでしょう」(上村さん)
さらにいちごの里では、週に1回「大人のケーキ教室」を開催し、参加者に栃木県産小麦の魅力を伝えています。パティシエである上村さんからイワイノダイチを使用したケーキ作りを教わる催しです。
「おかげさまで、東京からの参加者も多く、毎回好評です。『国産小麦はおいしくない』という誤解を、正しい情報発信をすることで解いていきたい。大人の食育です」(上村さん)
栃木県産小麦への、これからの期待、これからのいちごの里
国産小麦、栃木県産小麦の魅力を広めようと活動する麦わらぼうしの会の活動に、いちごの里では大きな期待を寄せています。
「栃木県産小麦の認知度が高まれば、それだけ当園のブランド力も高まります。それは、大変ありがたい話。一方でケーキ教室などで消費者の方々に栃木県産小麦に触れてもらい、感じてもらい、レストランやカフェ、土産品の商品を通じてそのおいしさを知ってもらうなど、私たちも微力ながら貢献していきたいと思っています」(小林さん)
上村さんには国産小麦に対し、パティシエならではのリクエストがありました。
「もっと特徴的な小麦粉があってもいいと思うんです。昔は、窯に小麦を炒って香ばしさや独特な食感を出しました。そういった風味のある小麦粉がほしいですね。また、私たちがどんなふうに栃木県産小麦を使用しているのか、生産者の方々にも知ってほしいし、私たち自身も身近にある産地をもっと知りたい。食の不安が広がり続ける今、顔の見える関係性が築ける麦わらぼうしの会の活動は、とても大切だと思います」(上村さん)